湯山一郎氏論文
模型鉄道1938年3月号に掲載

注、ここでは現代かなづかいに改めて読みやすくしてあります。
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　現在世界各国を通じて、最も多く採用されている模型鉄道の標準軌間たる''零番軌間！''　併して今後の我国模型鉄道の標準軌間となるべき、この優れた軌間に就いて未だ良く御存知ない方々もあると思い筆をとった次第です。
　''零番軌間''とは？　鉄道の発祥地であり。模型鉄道の本元である、英国において制定された数種の模型鉄道標準軌間の一つに対する呼称で、レールの内側の幅1-1/4インチ、メートルに換算して32mmのゲージであります。これは実物の4フィート8インチ半(1435mm)の標準軌間を基準としたもので、次に示す如く実際の1/45に相当しています。
　4フィート8インチ半　÷　1インチ1/4　＝　45.2　＝　約45　
または
　1435mm　÷　32mm　＝　44.8　＝　約45　　
　先ず順序として、海外におけるモデル愛好家連は如何なる縮尺を以って''Ｏ''ゲージの車輛を製作しているか？-----に就いて研究してみましょう-----
　英国では、その大きさは大部分7mmスケール(実物の1フィートを7mmに縮小すること)が採用されています。7mmスケールをサイズ法にすると1フィートは304.5mmですから、
　304.5mm　÷　32mm　＝　43.5　（注釈　原文では32mmだが7mmの誤り）
で、1/43.5と云う割合になります。この7mmスケールで英国車輛を縮尺すると、最大のものでも車体の幅は64mmとなります。
　また何事も世界一を目指す米国は、鉄道車輛も世界一大きいことは諸兄の熟知されるところでありますが、この国においても''Ｏ''ゲージは非常に盛んで、前号口絵のイリー鉄道のモデル列車も其一例ですが、-----　縮尺は主として1/4インチスケール(この何mmスケール又は何インチスケールと云うのは、実物の度量衡がフィート・インチを用いている為、何十分の一と云う様にサイズ法(分数で表わす法)で縮尺するのは計算が面倒になるからであります。)で、これをサイズで表わすと、1フィートは12インチですから
　12インチ　÷　1/4インチ　＝48
で、1/48に相当し、米国車輛を1/4スケールで縮尺すると、最大幅66mm程度となります。
　よって以上でお判りの様に、軌間に対する車輛の割合は、英国では軌間よりも極く僅か大き目になって居り、米国では反対に小さ目に設計されている-----と云えます。そこで英国機を7mmスケールで、米国機を1/4インチスケールで書いて見ますと、丁度第1図に見られる様に殆ど同じ大きさとなります。

第1図　零番軌間(O Gauge)の日・米・英　代表的機関車の比較

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