小高模型、１９６７年製
配給電車とは、電車区へ修理用の部品などを届けるための業務用の貨物電車のことです。
車輪やモーターなどの大きな部品を積むため、無蓋貨車に運転台を取り付けたような外観が特徴です。
小高模型と言えばペーパーキットが有名ですが、金属製の良質な模型も製造していました。
中でも、このクモル２４、クル２９は同種の形式がどこからも発売されていませんでしたので、注目を集めました。
車体はエッチングとプレス加工された真鍮製です。
屋上からのパイピングが当時としては珍しく、これだけでも細密感が漂っています。
台車は小高得意のダイカスト製でプレーン軸とピポット軸を用意しています。
動力装置は、クモルの運転室いっぱいに収まっています。
パワートラックがある現在なら何の苦労もないのですが、縦型モータでは設計上苦労するところです。
さすがにウェイトまでは積めなかったので、荷物を積載しないと集電不良になってしまいます。
ヘッドライトの点灯切替用のセレンも床下にうまく収まっています。
ただ取り付けネジとナットが床上に飛び出しているのは仕方ないでしょう。
今ならダイオードですので難なく室内に収まりますが
一見簡単そうで、実は手の掛かった製品。
ちょっと変わった形式が好きなファンには歓迎されたことと思います。
最近になって各社から配給電車が発売されるようになりましたが、それまでは中古市場でもなかなかお目にかからない貴重品でした。